貨物利用運送事業【Q&A:外航海運編】

Q1.「利用する運送事業者」との契約書の写しに代えて船荷証券(B/L)の写しでも構わないのか?

A.「利用する運送事業者」との契約書としては、原則として貨物利用運送契約書の写しを添付する必要があります。

しかし、外航海運事業における商取引慣行上、貨物利用運送契約書の添付が困難である場合には、例外的に運賃の収受に関する書類等(見積書の写しなど)に代えることができます。

これは、そもそも利用する運送事業者との契約書等の提出が求められている趣旨が、貨物利用運送事業を確実かつ適切に遂行できることを確認することにあるからです。

すなわち、船荷証券(B/L)については、貨物利用運送事業を開始し、実際に貨物の運送行為が発生して貨物利用運送事業者が発行するものであり、事業許可等を取得せずに発行できるものものではないため、契約書に代わって船荷証券(B/L)では審査を行うことができないからです。

Q2.船から積卸した貨物を同一港湾地区内の倉庫にトラックで運送する場合も第二種貨物利用運送事業の許可が必要となるのか?

A.同一港湾地区内での貨物の運送を港湾運送事業として行う場合には、これらの運送に関しては、第二種貨物利用運送事業の許可は不要です。

ただし、これらの運送事業を自社で行う場合には、一般港湾運送事業の許可を取得する必要があるのでご注意ください。

Q3.利用運送約款をどうしようか迷っている?

A.外航海運(邦人)の貨物利用運送事業の免許を取得する場合、利用運送約款については、「国土交通省が定める標準約款」か「JIFFA(国際フレイトフォワーダーズ協会)約款」、「自社で定める個別約款」のうちから選択することになります。

(1)標準約款について
先ず、「国土交通省の定める標準約款」を使用する場合は、貨物利用運送事業法上、認可したものとみなされるため利用運送約款の認可申請は不要となっています。

ただし、この標準約款は第一種のみにしか対応していないため、第二種の免許取得を検討している場合には、JIFFA約款又は自社約款を選択する必要があります。

(2)JIFFA約款について
また、「JIFFA約款」についても、既に認可されている利用運送約款であることから、利用運送約款認可申請書にJIFFA約款のサンプルを添付すれば、ほぼ審査期間を経ずに利用運送約款の認可を得ることが可能となっています。

しかし、JIFFAに入会し、入会金と年会費を納めなくてはならないので、JIIFA約款を使用し続けるためには、毎年一定額の固定費がかかります。

(3)自社約款(個別約款)について
さらに、自社で定める個別利用運送約款を使用する場合、英語表記の利用運送約款に日本語訳を添付して、利用運送約款の認可申請をする必要があります。

著作権の問題は別にして、既に認可を経ている利用運送約款であればさほど審査期間は掛からないのですが、オリジナルの利用運送約款の場合は、利用運送約款の内容を一語一句審査する必要があることから、その分審査に時間が掛かってしまいます。

そのため、JIFFA約款と自社約款との選択においては、免許取得までの期間と約款にかける労力やコストの観点から判断することになります。