貨物利用運送事業についてのQ&A(申請編:その2)
今回も、貨物利用運送事業についてのよくある質問のうち申請書類作成時に注意すべき点について、Q&A形式にて情報を提供したいと思います。
Q4.純資産の額が赤字の場合、事業免許を取得することは可能なのか。また、経常収支で赤字の場合はどうか。
A4.貨物利用運送事業法においては、利用者である荷主の保護の観点から、事業開始に当たっては、最低限必要な財産的基礎を有することが求められます。そして、事業を遂行するために必要と認められる財産的基礎として、貨物利用運送事業法施行規則において、基礎資産額(※)が300万円以上であることが求められています(施行規則第7条)。そのため、純資産の額が赤字の場合には、事業免許を取得することはできません。
なお、直近の決算以後、次期決算途上において増資を行う等、基準資産額に明確な増加があったことが明確であるときは、直近年度の純資産額に当該増資額を加算した額を基準資産額として取り扱っています(施行規則第8条第3項)。
また、経常収支については審査の対象とはなっていないため、基準資産額300万円以上を有していれば事業免許を取得することが可能です。
※基準資産額とは
貸借対照表又は財産に関する調書(以下「基礎資産表」という)に計上された資産(創業費その他の繰延資産及び営業権を除く)の総額から当該基礎資産表に計上された負債の総額に相当する金額を控除した額を指します
Q5.集荷した貨物の積み替えだけを行う施設、又は一時蔵置するだけの施設でも、保管施設として申請しなければならないのか。
A5.保管施設とは、倉庫・荷扱いの役割をもつ施設になるため、貨物をコンテナに積み込む又は貨物をコンテナから積み降ろす、いわゆる荷扱いを行う施設を指します。
そして、貨物利用運送事業では、基幹保管施設(幹線輸送の前後の基幹となる保管施設)を審査の対象としています。この基幹保管施設とは、①仕向地別仕分け、②コンテナへの積込み・積卸し、③通関、のいずれかの業務を行う施設をいいます。
そのため、倉庫・荷扱いを行う施設を使用するのであれば、貨物の積替えや一時蔵置するだけの保管施設でも保管施設として申請する必要があります。
なお、基幹保管施設以外の保管施設については、当該貨物利用運送事業を遂行するために必要な保管能力を有し、かつ、盗難等に対する適切な予防方法を講じた保管施設である等、当該貨物利用運送事業を遂行する上で適切な規模、構造及び設備を有するものであることを証する宣誓書の提出に代えることが可能となっています。