貨物利用運送事業免許取得後の注意事項について【行政監査編】

貨物利用運送事業免許取得後の注意事項として、国土交通省及び地方運輸局による行政監査とその対策について述べたいと思います。

先ずは、貨物利用運送事業者の方が気になるであろう行政監査についてコメントしたいと思います。

1.行政監査とは
行政監査とは、許認可を付与する権限を有する官公庁が、免許の交付を受けた事業者に対して即時又は定期的に監督官庁として実施する監督業務のことをいいます。

貨物利用運送事業の場合、免許を付与する権限を有する国土交通省及び地方運輸局が監督官庁を兼務して監査業務を実施することになります。

この行政監査には、事業者の事故や悪質な法令違反が発覚した場合など直ちに行政監査を実施する「即時監査」と事業者の中からランダムに抽出し、事前に事業者に監査日時を通知して行政監査を実施する「定期監査」があります。

2.行政処分について
即時監査の場合は、通常、行政監査を経て直ちに行政処分が下されますが、定期監査の場合は、行政監査を経て是正すべき事項が発覚した場合には、よほど重大な法令違反事由でない限り、先ずは、行政指導が言い渡されるのが一般的です(いわゆる改善通知書の交付)。この行政指導に従い、是正すべき事項につき一定期間内に改善措置を取らない場合には、事業者にはいよいよ行政処分が課されることになります。

監督官庁による行政処分が下されると、対象事業者は、地方運輸局や国土交通省のWEBサイト上に違反内容と行政処分内容が掲載されて公になります。したがって、事業者の方は、行政処分により社会的信頼の低下を招くことを避けるため、とにかくこの行政処分を受けることだけは回避する努力をされることを強くお勧めします。

3.主な行政監査対策について
次に、貨物利用運送事業者が行政監査に備えて常日頃から行うべき主な行政監査対策についてコメントしたいと思います。
貨物利用運送事業者に行政監査が入って判明することが特に多い違反事例としては、下記の掲示すべき書類が主たる事業所やその他の営業所に掲示されていないケースが挙げられます(貨物利用運送事業法第27条)。

①貨物利用運送事業の登録通知証及び許可証(保有する輸送モード全て)

②利用運送約款

③運賃料金表
※運賃料金表に「利用運送の区域又は区間」「 業務の範囲」「貨物の集配の拠点」の記載がない場合には、別紙にて作成してください。

また、監査対象事業者をランダムに抽出しているとはいえ、出来るだけこの対象に入らないようにするためにも、貨物利用運送事業者の方は、少なくとも定期報告書の提出や各種変更手続については、常日頃から忘れずに行うことに努めてください。